BLOG
2025/07/30 15:55
〜職人として大切にしている3つのこと〜
「どうしてこんなに味にこだわるんですか?」
R65のジェラートを食べたお客さんから、たまにそう聞かれることがあります。
自分では“普通のこと”としてやってきたつもりだけど、あらためて言葉にするなら、、、
僕がジェラート職人として大切にしていることは、3つあります。
それは、「素材に敬意を払うこと」「自分の舌を信じること」「お客さんの反応に敏感でいること」。
どれも当たり前のようでいて、どこまでも深くて、今もずっと試行錯誤の途中です。
【1】素材に敬意を払うこと
僕が扱っている素材の多くは、静岡の自然の中で、手間ひまかけて育てられたものばかりです。
金柑やニューサマーオレンジ、酒粕やいちごのキウイ、ほうじ茶やミルク——
その一つ一つに、生産者の想いと時間が詰まっています。
だからこそ、僕の役目は「余計なことをしすぎないこと」。
素材の輪郭をぼかすのではなく、引き立てる。
甘さや酸味、温度帯や口溶けまで含めて、その素材が一番輝く形を見つけること。
そのためにPACやPODといった数値とも向き合っています。
でもそれは、機械的な管理ではなく、“味をまっすぐ届ける”ための道具なんです。

【2】自分の舌を信じること
レシピを考えるとき、誰かの真似をすることは簡単です。
でもそれでは、自分のジェラートにはならないと思っています。
何度も試作して、迷って、時には行き止まりみたいなところに突っ込むこともある。
だけど、その過程でしか出会えない味があるんですよね。
「これはR65の味だ」と胸を張って出せるジェラートを作るには、
流行や一般的な評価より、自分の舌を信じるしかありません。
もちろん怖さもあるけど、それが“職人の決断”だと思っています。

【3】お客さんの反応に敏感でいること
仕込みの時は数値と向き合っていても、
ショーケースの前では、やっぱり“人”が相手です。
一口食べた時のお客さんの表情、目の動き、ちょっとした一言。
そのすべてが僕にとってヒントになります。
「えっ、なにこれ…!」っていう驚きや、
「これ、前より美味しくなってない?」っていう気づき。
そういう反応を見るたびに、「ああ、また次の味を作りたいな」と思えるんです。
R65のジェラートは、いつもお客さんとの対話の中で育っている。
それを忘れないようにしています。